May 21, 2012

雲のヴェール、金環日蝕



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金環


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 中世だったら、「あ”ぁ!! 斑の肌の子どもが産まれる!!!」と叫んだかも。
 それにしても、幻想的で美しいですね(※自画自賛という意味ではなくて)。

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May 18, 2012

いちばん得難い“ふつう”




 映画「オスカー・ワイルド」で、ワイルド(スティーヴン・フライ)がある肖像画をさして、当時発明されたばかりの写真と比較し、肖像画はその人物の人生(過去)を写し取れるが、写真はそれができない、と得意満面に語るシーンがあります。

  たしかシネスイッチ銀座で観たと思うのですが、当時(1998年)はその言葉になるほど、と思っていました。しかし今、それは違う、と明確に思えるようになっています。様々な展覧会や個展を鑑賞し、あるいは写真に関する本を読み、それは19世紀における写真というものの社会的意義や技術と、現代の違いという視点がもちろんあって、くわえて様々な写真文化の試行錯誤や進歩があって、そう思えるのだと思います。

  ただ、そうしたことをつらつら考えなくても、たとえばきょう手にした、週刊金曜日・表2で連載されている写真コラム、齋藤陽道さんの「それでもそれでもそれでも 15 カップル」を目にするとき、被写体となったレズビアン・カップルの、これまでやこれからに思いを馳せることができると感じるのです。齋藤さんは様々なアングルを試した上で、いちばん“ふつう”に見えるショットを選んだと記しています。

 「同性のふたりがどうやって出会い、今この国で一緒にいることの思いや覚悟。それを知っていないのに特別な絵のようにしちゃいけなかった」。だから「風通し」のいい、「ふつうの写真」を目指した、と。同性愛者に限らず、障害者をふくめたマイノリティが、「この国」で一番得がたいのは“ふつう”であることだと、聾者である齋藤さんご自身が痛感しているのでは、と勝手に推察します。マイノリティが、“ふつう”に生きられないのが日本国。いちばん得難い“ふつう”。

 思えば、原子力発電所も、核燃サイクルも、沖縄米軍基地も、消費税も、ふつうに考えればおかしな存在なのに、それをふつうと思っている、思い込まされている国民で構成されているのがこの国です。否、この国でした、になりつつあるのか。だからこそ、マイノリティにとっての得難い“ふつう”が、括弧なしのふつうに早くなりますように。



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May 17, 2012

有形無形の証し   DAYS JAPANフォトジャーナリズム展 2012



  新宿のコニカミノルタプラザで今月21日まで開催中、DAYS JAPANフォトジャーナリズム展を鑑賞しました。

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  リビア革命、パレスティナ問題から動物写真まで、様々な写真が展示されていましたが、やはり「3・11」をめぐる被災地の作品は、まざまざと自分自身にとっての「3・11」に思い巡らすものでした。
 
  また、木原浩勝氏主催の「新耳袋」で聴いた、被災地での“怪異”を思い出さずにはいられません。具体的にはネットで書かないお約束で聴いたお話なので書けませんが(木原さんのスタンスは、現地の人こそが語り継ぐべき、というもの)、犠牲者、被災者(生存者)、そして救援ボランティアの皆さんにかかわる体験談は、胸に迫るものばかりです。人が人を思うことはどういうことか。そして、人が非業の中で亡くなるとはどういうことか、考えざるをえません。

  こうした体験談と、報道写真を一緒くたに考えることに違和感を覚える方もいるでしょう。しかし、有形無形であろうと、大切にしなければならないと思います。その思いこそ、あの大震災の証しだと思うからです。決して、忘れてはいけない。そして今も続く。

reversible_cogit at 22:34|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)展覧会 | 政治経済

May 16, 2012

ウンコ映画  「貞子3D」



 仕事終わり、渋谷で「貞子3D」を観ました。ウンコ映画でした。観ながらもう呆れました。こんなものを有償でみせるのは詐欺なのではないか、と思わずにはいられませんでした。

  確かに期待はしていませんでした。しかし期待どころか、ウンコです、ウンコ。カス。これはホラー映画への冒涜であり、「リング」をはじめとするJホラーの失墜をかみ締めました。驚きのみを誘う無用な大きな音の多用、まったく信じられない展開の脚本、もうすべてがバラバラです。染谷将太が出演しているのですが、彼の俳優歴において大きな汚点とるでしょう。

  ホラー映画で重要なのは、派手な映像や大きな音ではなく、創造性です。人の恐怖を引き起こさせることは簡単ではありません。とりわけ「3・11」を経験した日本人にとって、どんな創造物より現実の恐怖が凌駕することを、地震や津波、原発爆発による放射性物質の汚染によって、身をもって生きているのからです。

  それなのに、こんなウンコ映画をホラーとして世に送り出すのは罪悪です。人間の創造性への侮辱です。角川映画は大いに反省し、過去の栄光の継承を真剣に熟慮すべきです。


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May 14, 2012

大飯原発再稼動報道にみるマスコミの情報操作



 TVにしろ、新聞にしろ、おおい町で原発再稼動に反対した唯一人の町議が、共産党の議員(猿橋巧議員。議会で最多7選)であることを決して伝えません。なぜなら、世論は原発再稼動に反対多数(JNNで55%)であり、つまり、おおい町で国民多数の意見を代弁しているのが共産党、ということになるからです。どの局も、新聞でも、反対が一人しかいないのに、

TBSニュース=「40年間の安全神話は1回の事故でふっ飛びました。4月1日に設立するはずの原発を管理する規制機関の確立もこれから。原因究明もなし、安全対策もなし、規制機関もなしで原発を再稼働させることなど許されないことはどう見ても明らか」(反対の町議)

 と敢えて匿名性を必ず守る、このゆがんだ報道をしているのです。日曜日には共産党としては異例の、志位和夫委員長が直々に福井入りし演説会を開催、多くの市民が参加しました。共産党は国会でも県会でも、いかに今回の再稼動が安全性、科学的知見とはかけ離れた政治判断であるかを明らかにしています。

 ことは共産党云々に限ったことではありません。国民は、こうしたマスコミの情報操作にどれだけだまされているでしょうか。マスコミは共産党が言行一致で脱原発に取り組み、政策提言していることを隠蔽する一方、さも橋下大阪市長が“脱原発派”であるかのような報道を繰り返しています。それが詐術であることは、大手マスコミ報道から離れてみればすぐ分かることなのですが、多くの国民はだまされているようです。マスコミは、橋下市長が核武装を主張していることは隠していますからね。

 国民の情報力が、政治の在り方を今後、ますます変えていきます。何も考えず、大手マスコミの大本営発表垂れ流し報道に浸り、気付いたときには圧制者が頂点に既に立っていて、もう何も言えなくなっては手遅れなのです。大阪の役所や学校の全国化が進んだら、言論の自由、表現の自由はおしまいです。



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May 13, 2012

フランス国民が探る新たな道



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 「サルコジ、セ・フィニ!サルコジ、セ・フィニ!」

  オランド次期大統領が到着した五月七日未明、パリのバスティーユ広場を埋め尽くした人の海から沸き起こったのは、この大合唱だった。
  腹からの「サルコジ終了!」の歓喜である。

  夜のバスティーユを占領したのは、圧倒的に若者たち。ピンクの旗(社会党)、赤旗(共産党と左翼連合)、緑の旗(エコロジスト)、青白赤のフランス国旗に加えて、チュニジアなど他国の国旗まで揺れて、微笑を誘った。ブラック・ブラン・ブール(黒・白・アラブ)にアジアも加わって、まるでサッカーワールドカップ状態。アーティストは「自由万歳!」と叫びまくり、人々は真っ赤な薔薇の花を手に革命歌「ラ・マルセイエーズ」を斉唱した。

 それは一九八一年五月以来三一年ぶりの、美しい左翼の祭典だった。
 
週刊金曜日894号・「フランス 新自由主義の権化、サルコジ政治にノンを突きつけ 庶民を守り外国人を許容する「平和」政治を選んだ人々」(山本三春 在仏ジャーナリスト・著作家) より冒頭

 
 フランスで、社会党をはじめとする左翼勢力や保守中道が支持したオランド氏が大統領に選ばれて1週間が過ぎました。事前の調査通りの結果とはいえ、その後のユーロ市場はギリシアの国会議員選の結果もあいまって混乱し、日米の株式市場も冷や水を浴びせられました。

 なぜか。それはオランド氏が「緊縮財政」一辺倒の政策を拒絶し、富裕層への課税を強化し、庶民からの経済成長戦略をとるからです。それが、「緊縮財政」しか道はない、と思い込んでいる政治勢力、金融関係者にとっては受け入れがたいものであり、脅威だからです。

 BBCの報道ぶりを見てもフランス国民の選択に対するその視線は厳しい。しかし、英国国内の地方選においても、同じ緊縮策をとった保守党・自民党は歴史的大敗をしたばかり。つまり、欧州民の世論は一方的な負担押し付けである緊縮財政を拒絶しているのです。

 フランス国民は外国人排斥政策をも退けました。多くの移民を、良き隣人として受け入れる道を選択したのです。日本で石原都知事が外国人差別を公言し、それが支持される実態とは大きな違いがあります。また、日本では橋下のような新自由主義者が人気を博しています。さながら、フランスから4周遅れ、といったところでしょうか。

 もちろんフランス国民の選択は易き道ではありません。しかし、F2の報道や先の引用レポートにあるとおり、若者が政治の決定に大きく関与しているのです。若者が、自分たちがこれから生きる政治を選択している。これも大きく日本と隔たりがあります。韓国においても、若者中心の市民政党が勢力を伸ばし、ソウル市長を革新市政へと転換させました。

 “常識的”には、日本より閉塞しているであろうフランス国民、特に若者世代が、その閉塞感を打ち破ろうと、左派政権を選んでいるのです。日本で左派政権など、つまり、国民視点の政権などあと数十年、下手をしたら国が滅ぶまで誕生しないかもしれません。日本人はフランス国民が選択した道がどういったものか、そしてどうなるのか、注視すべきでしょう。




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May 12, 2012

共感を楽しむ  キム・ジョンファン監督「ちりも積もればロマンス」



 きょうから公開、キム・ジョンファン監督「ちりも積もればロマンス」(LOVE AND CASH)を観ました。先日、ドラマ「成均館スキャンダル」出演のユ・アインが主演した「ワンドゥギ」(間違いなく傑作)に続き新宿武蔵野館、さらに同ドラマ出演のソン・ジュンギと、ハン・イェスルが主演を務めます。


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 26歳のジウンは大学を卒業しても就職先が無く、かといってストイックに生きることも無く母からの仕送りで気ままに生活しているが、家賃滞納がたたって部屋を追い出される。それを見かね、かつ自分の計画に利用できることもあって、すぐ向かいに住むホンシルは彼を自分の家のベランダにテントで住まわせ、2ヵ月の間いうことを聞き、目標金額を貯めるよう約束させる。ホンシル独特の金儲け手法に最初は抵抗を感じていたジウンも、やがて彼女の人となりとあわせ、お金儲けを楽しめるようになり…。
 
 過去のつらい経験からお金しか信じられない女性と、お金は使うもので自分のやりたいことを追求したい男、という組み合わせはそれほど目新しい要素ではないでしょう。しかし、この2人のテンポ良いやりとりに笑い、そしていつしか応援したくなるんですね。ジウンはどうしようもないチャラ男なんですが、不器用で優しいために逆にそれが魅力となり、ホンシルはお金のここととなるとスイッチが入ってしまい、周りが見えなくなりますが恋となると一気に奥手となるコントラスト。こうした2人のやりとりを中心に、脚本・演出も実に手だれているな、と感じ入ります。

 要は、次の展開がほぼ読めていても楽しめる、ということ。これってすごいことだと思うのです。もちろん想像もできない展開こそ観たいけれど、こうして「こうなるんだろうな、ああなるんだろうな」とときに期待し、ときにハラハラし心配する、ということは完全に登場人物に共感できている証拠であり、彼らと共に心が動いている、ということなんですね。どんなに“おもしろく”ても、その展開を完全に傍観者としてしか見られないときはつらいものですから。これこそ王道を行く韓国作品、ということなのでしょう。おもしろかった!






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May 07, 2012

空想が映す現実  アキ・カウリスマキ監督「ル・アーヴルの靴みがき」



 ユーロスペースでアキ・カウリスマキ監督、「ル・アーヴルの靴みがき」を観ました。

 港町ル・アーヴルに流れ着き、若い頃はパリで雑文書きだった靴磨き職人のマルセル(アンドレ・ウィルム)は、気ままに、しかし真面目に仕事をし、バーで飲み、近所のパン屋や食料品店につけで買い物をしている。そんな彼を支えるのは元移民で、良妻の評判高いアルレッティ(カティ・オウティネン)。ある日、マルセルはアフリカからの移民で逃亡中の少年と出遭い、彼を匿い、目的のロンドンへと送ろうとする。時を同じくしてアルレッティは、彼に隠していた内臓疾患の苦しみを抑えることができず、入院することに。検査結果は希望の無いものだったけれど、医師に夫には伝えないようにと懇願します。

 少年を助けるご近所さんもいれば通報する人もいる。通報を受けて捜査に来ても上からの命令どおりに逮捕できない警視もいる。アルレッティを心底心配する人たち…。物語は、一見不安定なのですが、掛け値なしの人と人の「絆」によって良心が生き、安定しているのです。


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 正直、現実感がありません。「これで暮らしていけるのか?」「ここで逃がしちゃうのか?」「入院費は払えるのか?」「なんで治るのか?」と、都合のいい展開に文句をつけていてはきりがありません。しかしこの物語は、その非現実性が強ければ強いほど、現実社会の反証となっているのです。先のフランス大統領選挙第一回投票で移民排斥を掲げる極右・国民戦線が躍進し(日本でいえば石原新党(仮)や、たちあがれ日本のような政党)、サルコジ前大統領は勝つためにはと極右に擦りより政策を打ち出し、結果的に保守中道票を逃し敗れました。

 こうした生々しい現実が今だからこそ、この映画の滋味も、意味も、深く大きくなるのでしょう。これを観て、素直にあたたかい心になれない自分自身が一番苦しいです。




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May 05, 2012

“けれん”の醍醐味!  ツイ・ハーク監督「DETECTIVE DEE AND THE MYSTERY OF THE PHANTOM FLAME」(邦題「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」)



 劇終の後、なんともいえない高揚感に包まれました。久々に味わうこの感覚。なんだろう。どう、この作品の魅力を言い表したらいいだろうか、と思い巡らせ、一つの言葉にたどりつきました。けれんみです。この言葉はマイナスな意味で使われるのが本来だと思いますが、僕は敢えて使いたいのです。

 たいがい王朝を舞台とする大掛かりな中国映画は壮大なはったりです。しかし今夜、仕事帰りにシネマート新宿で観たツイ・ハーク監督、「DETECTIVE DEE AND THE MYSTERY OF THE PHANTOM FLAME」(邦題は「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」ですが、こんなタイトルのトンデモ映画ではありません)は、そのはったりが見事に成功し、推理劇、愛憎劇、そしてアクション映画として見事に実を結んでいます。


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 時は唐代、王都洛陽には皇帝に即位間近の則天武后(カリーナ・ラウ)を模した、巨大な仏塔<通天仏>が天に聳え、完成に着々と工程が進んでいた。そんなとき、仏塔建立を取り仕切る役人が謎の人体発火で死亡。それを捜査する司法官も同様の死に方をする。これを則天武后は自らの即位に反対する勢力の仕業と断じる。時を同じくして国師のおつげ(神鹿がしゃべる!)により、かつて箴言をし、幽閉の身となっていた判事ディー(アンディ・ラウ)を呼び寄せ、さらに寵臣のチンアル(リー・ビンビン)、アルビノの容姿をもった司法官ペイ・ドンライ(ダン・チャオ)を補佐役とし、捜査が始まる。息をもつかせぬ展開で、幾重にも重なった謎が解き明かされ、大スペクタクルなエンディングへと突き進む。

 謎の数々が、超常現象と現実的な謎解きの渾然一体によって構成されているのがさすが紀元前の物語です。ですから単なる推理ものより物語として数段面白い。そしてなんといっても、捜査する3人組が、当然最初は猜疑心はあるものの、やがてよくあるえげつない裏切りとは無縁の関係となり、事件の解明(その動機は様々にしても)に向けて身を賭す姿は、殺陣の美しさ・強さとあいまって、とにかくかっこいい。特に美しきチンアルの複雑な愛憎に苦しむ姿や、当時アルビノの容姿がどれだけの意味をもったか分かりませんが、ペイの水際立つ存在感は一種妖艶です。この若き2人に支えられ、アンディ・ラウ、カリーナ・ラウの名演があると強く思います。

 正直いうと、あんまり期待していませんでした。邦題のせいでトンデモ映画かもとも思っていました。ただ、予告編や、あのツイ・ハーク作品であり、なんともいえぬ引力があって観にいき、結果は大正解。合わせて、先日観た「捜査官X」のもやもや感の意味もわかった気がして(それはまたの機会に)、いろんな意味で充実した、観ごたえある作品に違いありませんでした。支配者に殉じることが、こんなにもかっこよく描かれるのにちょっと政治的臭いも感じなくはありませんが(則天武后の再評価路線も同じ)、そんなことは置いておきましょう!




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May 04, 2012

雨あがる



  大雨がやんで、無風で、大気が澄んで、青空とまだ灰色の空が同居しているとき、透徹した夕陽がさしてきました。するとどうでしょう。また、パラパラと大粒の雨がふってきて、キラキラ奇跡みたいに輝きました。あぁ、大雨がやんで今度は狐の嫁入りがどこかで始まったんだなって。きれいでした。

  こうした色が重なり合う空を見ると、新海誠の作品を連想するのは最早刷り込みです(笑)


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  きょうは夕方でかけるまで、ずっと家にいました。いろいろあって。で、渋谷TSUTAYAでもはじまった「ずっと旧作100円」で借りて来た、パク・チャヌク監督『親切なクムジャさん』(2005)を再見です。映画館で観て、ちゃんと再見するのは7年ぶり。

 いや、ほんとよかった。脚本も、映像も、音楽(ヴィヴァルディ多用)も、演出も、素晴らしい…。ちなみに主演のイ・ヨンエさんって、「宮廷女官チャングムの誓い」の主演でもいらっしゃるんですね。清楚な彼女が、母としての怒りを裡に秘め、赤いアイラインをひいて復讐劇に着々と歩みを進め、実行する姿は美しかった。悲しかった。いとおしかった。夜ご飯は、録画したBSJAPAN「韓流ファクトリー」(おもしろい)を見ながら、自分で作った韓国料理を食べて、百年酒とスジョンガを飲んでおいしかったです。もちろん器と箸とスプーンは銀色。

 さて、あす、あさってと出勤です。でも、通勤時間帯はすいているでしょうからいいことにしましょう!日曜日は13時出勤のシフトなので、あす夜はシネマート新宿に寄って映画観て帰ろうかな〜。


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May 03, 2012

憲法の恩恵は天与のものに非ず  第12回「5・3憲法集会」



 個人的には最大2連休だった大型連休もきょう、あすでお仕舞い。放送に休みはありませんから。そしてきょうは、65回目の憲法記念日。ということで初開催の12年前からほぼ毎年欠かさず通っている、日比谷公会堂が会場の「5・3憲法集会」に参加してきました(主催=8民主団体で構成される2012年5・3憲法集会実行委員会)。大雨なんかなんのその。会場は満席です。僕のような個人参加者はもちろん、医療、教育、航空港湾、建設、農業、マスコミなどの従事者が多く参加しています。

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 スピーチは、原発爆発人災で福島から東京に避難してきた松本徳子さん(つながろう!放射能から避難したママネット@東京)、元宜野湾市長の伊波洋一さん、脚本家の小山内美江子さん、社民党党首の福島みずほさん、日本共産党委員長の志位和夫さんらが行い、会の半ばでは中川美保さんのサキソフォン演奏が花を添えました。

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 語られたテーマは原発、米軍基地=日米安保、TPP、橋下・維新の会、そして改憲への策動などです。松本徳子さんの原発被災者としての言葉は重く、伊波さんが訴える普天間基地の人権侵害ぶりには改めて驚かされ、小山内さんは「9条改悪=徴兵制復活の危険性」を語り、福島党首が指摘する「被災地でこそ憲法いかす」という理念、さらには志位委員長による原発、日米安保、そして橋下・維新会がいかに憲法と相容れない存在かという明瞭な論陣が展開されました。

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 そして毎年思うことですが、もし日本国憲法がなければ、どれだけ我々の民主主義が制限され、息苦しい生活を送っていたか、ということ。さらには、自民党やみんなの党、ほか保守小党が「改憲私案」を示していますが、どれも「憲法=権力の暴走から国民・市民を守る最高法規」という概念がさかさまで、“憲法”を国民が守る義務集にしようとしている愚かさです。我々は、知らず知らずのうちに憲法の恩恵に浴しています。そしてそれは、天与のものでないことを肝に銘じなければなりません。



May 01, 2012

喜怒哀楽とともに…  ほしわにこ著 『ひねもす老猫生活』



 ほしわにこ 著(文、イラストとも)、『ひねもす老猫生活』(学研マーケティング)を拝読しました。イラスト満載、文章も読み応えアリ。猫との生活についての本といえば加門七海先生の、こちらは拾い育てた病弱な子猫との実録エセー『猫怪々』(集英社)を少し前に読んでいて、加門先生と、その先生と縁をもつ猫はやはりタダモノでなし、という感慨を深くしたばかり。また、身体の弱い子猫と正面から向きあって暮らせば、もう猫中心の生活にならざるをえないのだと垣間見たのでした。

ひねもす老猫生活
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 一方、『ひねもす〜』はイラスト満載で、読む者にって“怪しい楽しさ”はないけれど、ごくふつうに猫と暮らすのも、それはそれは簡単ではないことを教えてくれます。もちろん、そこには猫と一緒に暮らす楽しさ、充実感がいっぱい。加門先生と同様、家族の一員としての猫との生活がいきいきと描写(推察された猫の心象台詞も交え)され、章のおわりにはコラムが設けられて著者の意見がうまくまとめられています。

 登場する老猫いわし(19歳。人間だと90歳代後半)と、14歳で亡くなったさわら。この2人(匹)の生活ぶり、性格の違い、家族との距離感など、電車の中で読み始め、最初はニヤニヤ楽しく読んでいたのですがページを繰るごとに著者の愛情と真剣さに圧倒されます。さわらの章は大切な家族の闘病日記であり、お別れの記となり、またふたたび3例の“長生き猫”レポートがはさまれて、最後に老猫と暮らす留意点が獣医のアドバイスつきで紹介される構成は、見た目がっちりとした目次からの印象そのままです。

 こうして猫との生活記を読むにつけ、自分が子どものころ、いかに何にも分からないで猫を“飼って”いたかを反省し、また、さわらが亡くなるシーンでは、20年近く前に自分も味わった病で倒れた犬との別れを思い出し、受験生だった自分がその子の命に向き合っていなかったことをかみ締めます。本書は、著者とおなじような境遇の読者であれば共感の笑いと涙で読めるでしょうし、僕のような人間も、いつかまたへの反省と心構えとなる良書です。


猫怪々
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April 30, 2012

搾取旅行の末路  関越自動車道・高速バス事故



 僕は高速バスだけは利用しないようにしています。なぜなら、2009年の総務省調べを挙げるまでも無く、高速バスの運転手さんが運転中に「睡魔に襲われた」経験が約9割に上っているからです。つまり、高速バスは危険なのです。かつ、高速バスを利用することは、小泉内閣によってもたらされた“規制緩和”という競争無間地獄で、自分が益を受けることになるからです。不買運動まではいかないにしても、そうしたシステムを利用することを避けています。

 被害者遺族の方が「お父さんは戻ってこないから許せません!」と叫んでいました。もちろん悲しいのはわかりますが、誰に対して「許さない」なのかちゃんというべきでしょう。まさか運転手じゃないよね。彼を間接的に搾取して、安い料金で移動していたのだから。もしも、本当に「お父さん」を大切に思うなら、もういくらかのお金で高速バスでない移動手段を勧めるできでした。高速バスは、安かろう危なかろう、が常識のはずです。

 今こうしているときも、一人で670km(!!!)を上限に、過酷な運転を強いられているバス運転手さんが、うつらうつらしながら運転していることでしょう。特に事故が起きた朝方は眠気絶頂。自分もTV局でその時間帯に緊張感を強いられる仕事をしていましたが、運転なんてものはしたくないですね。放送事故なら謝罪や減俸ですみますが、バスの運転は数十人の命を預かるわけですから。

 運行会社や発注会社が、どういうつもりだったか知りません。ここにも「安全神話」があったのでしょう。「まだうちでは事故は起きていない」、という。大飯原発再稼動を正気の頭で考えられる人たちも、「もう二度と3・11のような地震は起きない」という自己暗示をかけているのでしょうか。あるいは、起きたらおきたでまぁいいか、と思っているのか。いずれにせよ、高速バスに乗る人も、搾取側として運行させる会社も、原発再稼動に賛成する人も、一部の人にそのしわ寄せを押し付けていることに無頓着に過ぎると考えます。



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April 29, 2012

オススメ映画とはこうした作品のことをいう  イ・ハン監督、キム・ユンソク、ユ・アイン主演「ワンドゥギ」



 作品を観ながら、そして観た後の帰途、あぁすごい、本当にすごい、と感じ入りました。こんなに面白く、温かい物語。あんなに軽やかに、かつしっかりと「人権」について描けるなんて…韓国映画ってすごい、と。そして出演者たちの生き生きとした演技…観てよかった!

 イ・ハン監督、キム・ユンソク、ユ・アイン主演「ワンドゥギ」を新宿武蔵野館で観ました。とにかくテンポがよく、楽しく観られる作品でした。ソウルの決して富裕でない層が暮らすであろう地区で、元キャバレーのダンサーで障害(背が低い)をもつ父(パク・スヨン)とやや知能が低いものの、純粋で優しい“叔父”(キム・ヨンジェ)と生活するワンドゥク(ユ・アイン)。そんな彼の家のすぐはす向かいに住む高校の歴史教師ドンジュ(キム・ユンソク)は、まったく教師然としていないけれど(当初、ワンドゥクから“くそドンジュ”と言われている)、ワンドゥクにいつも目をかけています。彼を見れば「おい、ワンドゥク!」と(笑)


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 そんな一家とドンジュ、個性的なご近所さん(キム・サンホ)を中心に、ずっと離れ離れに暮らしていたワンドゥクの母(フィリピン人)との再会や、ドンジュが不法滞在の外国人をかくまって逮捕されたり、ワンドゥクが教会で知り合ったインド人の勧めでキックボクシングをはじめ練習を重ね上達するなど、さまざまな日常と出会いを織り込んで物語りは展開します。笑いあり、涙あり。上面な演出とは一線を画した、韓国映画の実力を垣間見ることができます。それにしても、「義兄弟」「超能力者」そして本作と、韓国映画はここまで外国人労働者を正面から描くんだと思います。日本映画で、外国人労働者を“良き隣人”として描かれた作品を僕は知りません。

 ドラマ「成均館スキャンダル」ではクールで、比較的抑えた演技だったユ・アインでしたが、本作では表情豊かに伸び伸びと演技していて実に爽快。「チェイサー」では熱い刑事だったキム・ユンソクも、いい具合に力を抜き、かつ随所随所で人権に高い見識を滲ませる台詞をつぶやく気骨とユーモアの人を見事に演じていました。ほかの出演者も個性豊かで素晴らしく、監督の「人」に向ける温かい眼差しに包まれた作品です。今も胸の奥があたたかさで満ちています。多くの皆さんい観てほしい作品です。


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April 28, 2012

筆談二重奏の響き  写真家・平間至×齋藤陽道 筆談トークショー&齋藤陽道 新作スライドショー・『せかいに至る道…』@浅草浪花家



 たい焼きの名店でありギャラリーも併設する浅草浪花家さんの企画で今夜、写真家の齋藤陽道さんと平間至さんの筆談トークショー&齋藤陽道新作スライドショー・『せかいに至る道…』に参加してきました。浪花家さんにお邪魔するのは今年2月19日、齋藤さんの個展以来です。

 齋藤さんの写真集『感動』というタイトルへの平間さんの問いかけから始まったこのイベントは、齋藤ファンとして、これまでまだ知りえなかった齋藤さんの作品観に触れられる、とても有意義なものとなりました。本当に主催された浪花家さんには感謝です。

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 話題は多くあったのですが(写真参照)、特に印象に残った2点について書かせていただきます。一点目は、齋藤さんが20歳になるまで補聴器をつけていたけれど、20歳を期に補聴器を捨て、無音の世界に飛び込んだことです。補聴器が、上川あや世田谷区議やしんぶん赤旗の記事で「十人十色」の調整が必要でデリケートな医療器械にもかかわらず、そうしたケアの体制が整っていないことは知っていました。そして実際、齋藤さんにもノイズしか、補聴器はもたらさなかったのです。

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 齋藤さんは小中校は「ふつう」の学校に通い、高校はろう学校に入って“手話”を覚え、一気に世界が広がったそうです。そして20歳にして、補聴器を捨てた。ただ齋藤さんにとって、不便であろうと役に立たないものであろうと、補聴器をつけることはそれまで当たり前だったのです。平間さんは、実際には役に立っていなかった補聴器を捨てたことを敷衍して「人は思い込みに縛られていて、それを捨てることで何かを得る」と指摘されました。齋藤さんも補聴器を捨て無音の世界になったからこそ、この世界がキラキラ輝いてることに気付いた、と話されています。

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 ただ思うに、齋藤さんにとって補聴器は「思い込み」といったものでは例え切れない存在だと感じます。小中では意思疎通がうまくいかず裡にこもった、と齋藤さん。僕は、障害をもつ方に「可哀相」とか「同情する」などと安易に考えることは侮蔑に近いと肝に銘じています(なぜなら母が足に障害があるからです)。けれど、どうしても、まだ小中生だった齋藤少年がどんな孤独を味わったかを想像するに、涙を抑えることはお話を“聴き”ながら難しかったです。もちろんその時代が今の齋藤さんを知るにつけ「孤独だけの9年間」などとは思いません。それでも、ろう学校での手話は齋藤さんにとっては世界を広げる手段となり、補聴器は世界とつながるツールだったと思うのです。

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 そんな世界とつながるツールを捨てることが、どれだけ勇気を要したことか。しかしその勇気があったからこそ、写真家・齋藤陽道は生まれたんですね。生きる世界を定めた。こうした経験が少なからず、齋藤作品に力を与えていると思います。作品で“自分と他者との中間を見たい”という思いが、すべての存在には共通するものがあるという作品への希求が、齋藤作品の普遍性を担保していると僕は信じるのです。

 そしてもう一点、平間さんをはじめ、多くのアーティストが音楽に深く影響されていることに対して、齋藤さんは“自分は音楽というものを聴いたり、分かったりしたことがないから、ずっと音楽には片想いだ”と。確かに、音楽という生命の源泉ともなる芸術が、齋藤さんの中には存在していないことは、おそらく僕には想像のできない決定的ななにかなのでしょう。

 しかしです。齋藤さん自身は音楽を“知らなく”ても、その作品の中には音楽性に満ちたものも少なくなく、音楽そのものを主題にしたものや、あるいは見る僕にとって音楽を喚起する作品が多くあるのです。つまり、いかに齋藤作品の可能性が豊かであるかであり、知りえないものまでもおのずと表現しうる齋藤さんの感受性の一面を示しているのではないでしょうか。平間さんが引き出した、齋藤さんの音楽に対する“証言”は実に興味深く、価値あるものだったと確信します。

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 齋藤さんの新作スライドショーを含む2時間弱の中で、まだまだここには書ききれないやりとりがありました。お2人がともにペンを走らせる様子自体がすでに音楽的です。2人のアーティストが奏でた、筆談という二重奏を聴くようでした。枝豆×カスタード(平間さん提案)×かぼちゃ×いも(齋藤さん提案)、というあんの特製たい焼きも絶品。充実したイベントに改めて感謝であり、齋藤さんの今後の新たな活躍にもしっかり注目したいです。目下、週刊金曜日表2で連載中の写真コラム「それでも それでも それでも」を鑑賞、読めることが大切な時間となっています。

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April 26, 2012

青は青のまま美しく  韓国ドラマ「ドリームハイ」(2011、KBS、BSJAPAN放送)



サムドン(キム・スヒョン)は、愛するヘミ(ペ・スジ)がアメリカに旅立ってしまったと思い、彼女を乗せたバスを追いかける、追いかける。けれどバスは無常にも…。と、そこへ後ろから息せき切ってかけてきたヘミが彼に追いつき、留学はせず韓国に残ったという。感激の余り、がっしと彼女を抱きしめるサムドン…



 見始めた当初は「青春ラブコメディ」でした。しかしやがて「青春ドラマ」となり、終盤に入ると余計な冠なんか要らない「ドラマ」になっていました。そう。録画していたもののもったいなくて見られなかった韓国ドラマ、「ドリームハイ」(2011、KBS、BSJAPAN放送)をやっと全話、見終わりました。


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 先に紹介したワンシーンは最終話の一つ前のシーンです。ここだけ抜き出すと陳腐に思えますが、2人のこれまでを見てきた視聴者にとって、サムドンのヘミへの真っ直ぐで、抑え切れない思いがストレートに表現されたシーンで、涙なしには見られません。まさに胸、打たれます。サムドンは田舎出身という設定なので、逆にその飾り気の無い熱い言葉が…。なんといってもキム・スヒョンの演技が素晴らしく、今ではその人気で韓国観光広報大使になった彼。と、プチ情報を書いていても思い出し涙が…

 成長する若者群像劇としての「ドリームハイ」ですが、やはりその中心にはこのヘミ、サムドン、そして同じくヘミを思うグク(テギョン)という女男男の三角関係があります。グクは父親が政治家を目指す実業家であり、“非嫡子”。また芸能界デビューを果たし人気絶頂の中、同級生の女の子が芸能事務所社長にセクハラされるのをとめるために手を上げてしまい、スキャンダルに。そうした大人の事情のなかでもまれ、ヘミへの愛も一歩引いて、しかし温かく見守るタイプ。一方サムドンは当初は天真爛漫。しかしやがて難聴という音楽を志す若者にとって大きな頚木をかせられ、性格も、キャラも変容します。グクとヘミが親密にする様子を見て、ひとりショックを受けるシーンは有名となりました。2人のバスのシーンも、3度シチュエーションを異にして素晴らしいです。

 そんな2人の間で揺れるヘミ。そして最終話、彼女の結論はでるのですが、演出・編集がうまくて最後の最後まで、ラストシーンを頂点にする構成となっています。ハッピーエンドではあるけれど、愛するがゆえに離れてそれぞれの道を歩む2人。芸能高校が舞台ですから、音楽ドラマとしても見ごたえがありますし、人間関係もコミカルとシリアスをしっかり描き分ける。そして最後は直球勝負です。しかし、直球ほど難しいものはないのです。一歩間違えば陳腐に成りかねません。けれどこの「ドリームハイ」、最後まで、視聴者の心を掴んで放さないでしょう。僕も、いったい最後の2話で映画何本分の涙を絞ったことか……傑作です。青春の青を青のまま美しく、描ききりました。




reversible_cogit at 20:39|この記事のURLComments(2)TrackBack(0)DVD | TV

April 25, 2012

感慨深く“最後”の夜を  SHINee☆Cafeレギュラー開催最終日



 店内のスクリーンに、おそらく2年前のSHINeeによる「Ring Ding Dong」のパフォーマンスが映し出されました。同曲は、僕がSHINeeのパフォーマンス、楽曲、ほかもろもろ総合的に開眼した最初の曲です。K-POPだからなんだとか、そんな枠なんか関係なく、これはすごい!こんな子たちがいる!と心から感動し、今に至っています。その映像を見ながら感慨深くて涙が出そうになりました。


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 というのも、自分にSHINeeはもちろん、K-POPの幅広い魅力を教えてくれた“SHINee☆Cafe”(渋谷宇田川町・喫茶SMiLE)のレギュラー開催が今夜で最後だったからです。 それを知ったのは3日前。きょうはどんなに残業があろうと行こうと決心していたのですが、19時には職場を後にして渋谷へのバスに揺られていました。


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 毎回、鶏の唐揚げ定食を食べ(これが絶品。やめられません)、SHINee、JONGHYUN、KEY、TAEMIN(ノンアルコール)と名前を冠したカクテルを頼んで、映像、そして何よりお話を楽しみました。自分ではとうてい知りえない情報が、そこにいるだけで入ってきますし、また、同感・共感をもってお話をできるのは何にも代え難い喜びでした。


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 SHINeeのライブツアーが終わった7月はじめころ、単発イベント・SHINee☆Nightとしてふたたび開催されるとのこと。それまで僕も代々木体育館のライブに行きますし、自分なりに情報収集して臨みたいと思います。しかし今回のことで思ったのは、青天の霹靂たる出来事はあるし、幸福は永遠ではないということの再認識です。楽しみは、一回、一回をかみ締めなければいけないんですね。




April 24, 2012

雪山で美しきバケモノが囁く  豊田利晃監督・脚本「モンスターズクラブ」



 撮影地は山形県最上町。鬱蒼とした木々の山に、それを幾重にも覆うように雪が降りしきる。映像から冷気が吹き付ける。山中に建つ一軒の山小屋。そこで紡がれる、爆発する言葉たち。この世界を解体する言葉たち。そしてそっと、その言葉に耳を傾ける異形の美しきバケモノ…


 きょうは代休。運転免許の更新に三茶の世田谷警察署に行ったら「期日前だからダメ」といわれ…通知葉書をちゃんと読んでいなかった自分が悪い…でも無念…。職場からのメールに対応しつつ、気分を切り替え急いで渋谷へ。ユーロスペースで公開中、豊田利晃監督・脚本「モンスターズクラブ」を鑑賞しました。


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 家族を病気、事故、自殺で相次いで失った青年・垣内良一(瑛太)。そんな彼は社会を忌避し、猟銃自殺した兄(窪塚洋介)が建てた山小屋に一人住み、そして爆弾を製造。TV局や広告代理店に送りつけ、“メッセージ”と称して爆発させている。そんな彼の前にはえもいわれぬバケモノ(ピュ〜ぴる)が現れ、彼をじっと見つめる。さらに事故死した弟や自殺した兄が現れ、彼の現状を批判する。幻想か、現実か、もはや彼にはその境界はどうでもいい。そこに唯一の肉親、妹がやってきて彼の生活に一石を投じることとなる。

 良一の生活には客観性というものがない。ひたすら主観に埋没し、しかし理性は生きているから死せる兄弟を蘇らせては自己批判に苦しむ。ただ、彼が見出すバケモノは彼を見守っているから、あるいは山の精の視線なのかもしれない。その存在感は、やがて彼を支配し、「お前が齧ったりんごの味を、世間に知らしめてやれ」とささやく。

 しかしシステムやテクノロジーを呪う彼なら気付いているだろう。いくらそのシステムの一部である社長や関係者を殺しても、代えはいくらでも利くことを。故に、その絶望は無限な叫びとならざるをえない。かのバケモノと一体となることを望みまでして…

 瑛太の演技がいい。狂気と正気の混在のバランスが絶妙だ。そしてバケモノを演じたピュ〜ぴるの存在感がハンパない。アーティストとして、境界を越境する存在としてのピュ〜ぴる。画面に、良一の心象鏡像として以上に。

 筋だけ追えば、どんづまりな結末にただ沈黙するしかない。圧倒的なシステムに敗北する青年の物語だ。良一の中に自分の一部を見出し、共感を大いにする。そしてともに肩を落とす。しかしそれだけでもないのだ。心にあの雪山を思え。いつかまた、遠いいつかでも、あそこに帰ろう、と。あの痛切なラストシーンを観ながらでさえ、そう思った。





reversible_cogit at 21:13|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)映画 | 政治経済

April 23, 2012

沢尻エリカ嬢  



 リハーサル室の扉が開いて、沢尻さんが入ってきた。
 出るところが出て、へこむところがへこんでいる。これがなかなか難しい。どうも、さして苦労することなく、彼女はこの「メリハリ」を手に入れたたのだろう。

 それにしても不思議な瞳だと思う。
 サブリミナル(潜在意識的)な部分を刺激するエキスを発散している。ただじわじわと脳が侵食され、いつの間にか虜になってしまいそうな。
 僕は思慮深く動く瞳に吸い込まれそうになりながら、ミステリ風に幕を開け、SF調に転調、かと思えばファンタジーになり、純愛一筋的な仕掛けをちらつかせてははぐらかす、主人公の存在感そのものについて話してみる。

 彼女は、船越英一郎、余貴美子さんたちベテラン相手に、まるで聖母マリアさまが登場したように捌いていた。
 悪女の美しさは「不変」だということか。


 以上は、しんぶん赤旗に演出家・鶴橋康夫さんが連載しているコラム「ドラマの種」のきょう掲載回「沢尻エリカと「悪女について」」から抜粋したものです。同氏が演出し、今月末にTBSで放送される有吉佐和子原作ドラマ「悪女について」に主演する、沢尻嬢について書かれたものです。

 読みようによっては鶴橋氏が、よりにもよって共産党の機関紙上で沢尻嬢への“ラブレター”あるいは“賛美”を書いたに過ぎない、のかもしれません。ただ、これが“ラブレター”であったとしても、コラム表題の「ドラマの種」であることには間違いありませんから、ノー・プロブレム。

 鶴橋氏の言を信じるなら、彼女の美貌・肢体・感性は、岡崎京子原作、蜷川実花監督の『ヘルタースケルター』の主演を張るには文句なし。予断は排して、劇場へ楽しみに足を運ぶのみです。「パッチギ!」の頃から沢尻嬢は素晴らしかった。

 家でなく、ほかの場所でやむなく目に入ってくるTVのバラエティや情報番組を見れば、それはそれはくだらなく、反吐が出そうです。そんなクズ番組を作っている連中に対して、沢尻嬢が彼らに価値をおかない態度をとっても不思議はありません。実際、騒いだのはくだらない連中でした。

 今後も、沢尻嬢は仕事を選び、わが道をいって欲しいものです。TVもうまく使いこなせばいい。叩きたい奴らには叩かせておけばいい。日本人の多くはバカなのですぐ忘れるし。鶴橋氏のように、見る人が見て、そこに価値を大いに見出す存在であればいいと思います。

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reversible_cogit at 23:41|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)映画 | 新聞

April 21, 2012

無垢のチカラ マメのおかげ  沖浦啓之監督・脚本・原案「ももへの手紙」



 かの傑作、「人狼」と同じ監督作品とは思えない、沖浦啓之監督・脚本・原案の「ももへの手紙」を仕事帰り、渋谷東急で鑑賞してきました。舞台は瀬戸内海に浮かぶ島、広島県・大崎下島。母が幼少から高校生までを過ごした地です。

 本筋自体は陳腐です。早くに父を亡くした母子が、母の故郷たる島に東京から移住。当然その娘(小6)は当地になじめず…しかし様々な出来事を経て次第に人間関係が結ばれ、その地で父の思い出と共に過ごす母子…。まぁ、よくある話ですが、ここに「空」から遣わされたという3人?の妖怪(あくまで仮の姿)が、父の代わりに一定期間、その母子を見守るために降りてきて、なぜかその娘にはその姿が視えて騒動を起こす、というのがオリジナリティでしょうか。


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 西田敏行、山寺宏一、チョーという俳優・声優の名優がその3妖怪を演じるのですが、賢しい西田・山寺妖怪に対し、チョーさん演じるマメは頭が弱い、というよりも純真無垢な役どころで、その予想できない行動がもう可笑しくて、可笑しくて、久しぶりに映画館で爆笑してしまいました。映画で笑う、なんて本当に久しぶりで幸福な体験です。

 しかし、ただ単におもしろいだけではないのがマメです。様々な事情を抱える人間と、思春期真っ只中の少女、賢しい他の2妖怪に対して、ふとした瞬間、マメの無垢さが大きな助けにもなり、力にもなるのです。この点を、大切に僕はしたいのです。無垢な目で見るとき、より物事がクリアに視えることがあるのではないか。だから子どもには大人には見えない存在も視えたりする。この作品は単純な母子愛情物語とは一味違う、生の豊かさを描いた作品ではないでしょうか。マメのおかげ。


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reversible_cogit at 23:45|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)映画 | アニメ